職場の旧姓使用は一般的にできる?選択的夫婦別姓と日大三高の訴訟判決は矛盾?
2017/03/18
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2016年10月11日、「職場での旧姓使用を認めない」という地裁判決が出た?!
とのことで、去年の夫婦別姓の最高裁判決では
姓が変わることの不利益は旧姓の通称使用で緩和する
~だとかなんとか言ってなかったっけ?と思いまして、調べてみました。
今回はちょっと自分の頭の整理も兼ねて、この裁判の概要と、個人的に気になった点、夫婦別姓を巡る議論などを、まとめていきたいと思います。
※2017.3.18
訴訟の和解について追記しました。
【関連記事】
職場や仕事での旧姓使用の範囲は?結婚前の苗字はどこまで使える?
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訴訟の概要
どんな訴訟だったの?
訴えを起こした人は、東京都町田市の日本大学第三中学・第三高校に勤務する
30代女性教諭のAさん。
訴訟を起こした理由やこの訴訟で求めたことは
”結婚前の苗字”(旧姓)を
「通称」として使えることです。
(これを使えないのは人格権の侵害だという主張)
これを学校側(日大三中・三高)と東京地裁で争っていました。
日大三中・三高ではAさんの求む範囲での旧姓使用ができていなかったわけです。
これが、東京地裁は請求を棄却と。
なぜ棄却されてしまったのでしょうか。
女性教師Aさんの主張
(出典)https://www.bengo4.com/
Aさんは2003年から日大三中・三高に勤務をしていて、2013年に結婚。
結婚後、戸籍上は夫の姓となったわけですが、
それまでのキャリアが積みあがった自分本来の姓(旧姓)を通称として使用することを学校に求めていたんですね。
このときの戸籍上の姓と旧姓の使い分けは
・時間割表、保護者への通知、式典での呼び名や名簿などには戸籍姓を使用。
(紙に残るもの、正式な式典などはすべて戸籍上の姓ということですね。)
・教師の同僚や教室内での呼称は旧姓だったとのこと。
ここで見逃せないのは
多くの生徒や保護者からも旧姓で呼ばれているという。
(出典)朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASJBC4TCSJBCUTIL02Y.html
という点かなと。
生徒や保護者もAさんの旧姓には慣れ親しんでいるようです。
もう一点気になること・・・
ほかの系列校では通称が使えるのに、勤務校では使用が認められていない。
・・・
同じ系列校でも一校一校がひとつの法人・企業なので、経営者の判断に委ねられているのです。
Aさんが旧姓にこだわっていた理由
Aさんは教員歴が10年ほどにもなって、書籍の執筆にも携わってきたそうです。
その今までの授業や研究の結果を書物とするとき、
以前書いた本の著者名や、これまでの教師として実績と齟齬のない名前で書きたい
教員として一貫した名前でキャリアを築きたい
という思いが強くありました。
また、こんなことも言っています。
姓が変わったことを誇らしく思う人はいるでしょうし、私もプライベートではどちらの姓で呼ばれても嬉しい。
でも、仕事は一貫した姓を使いたい、選べるようにしてほしいんです。
(以上2つの引用出典)弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/c_3/c_1340/n_4881/
これって、Aさん個人にとっての問題は、結婚して戸籍姓が変わること自体よりも、抵抗があったのは
姓が変わったあとの不利益、
「仕事でこれまでの自分の名前(姓)が使えなくなる」
ということだったのではないかと思います。
芸能人や書籍などの著者をはじめとして、仕事をする上での、自分の”屋号”を持つ人って、そうそう芸名やペンネーム、仕事名を変えることはないですよね?
お店なんかもそうです。
大々的に報道されなければ、あれ誰?なんの店?ってなります。
そういった仕事上での名前を使えなくなるって、個人で築いたブランドを失ってしまうような喪失感があるのではないでしょうか。
なので、私個人的には、ヤフコメやSNSをはじめとしたネット上の意見に多数見られる
・自分の苗字にこだわりがあるなら結婚をしなければいい
・旦那に婿に入ってもらえばいい
・旧姓使用OKの学校に行けば?
・・・などの意見ってちょっと的外れではないかな~って思っています。
旧姓の通称使用を!ということで話がややこしくなっていますが、
私が見るに、今回のAさんの主張、というか本来戦いたかったことは
「仕事上の芸名をそのまま使わせて!」
というのに近いのではないかと思っています。
学校側の対応
(出典)http://www.nichidai3.ed.jp/
Aさんは上のような経緯と想いで、通知票や生徒指導要録などにも旧姓使用を求めていたわけですが
それに対して学校側は
「公人である教職員の業務には法に基づいた呼称が妥当」
(出典)毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161012/k00/00m/040/085000c
ということで、裁判で争うことになったわけです。
判決とその理由
判決では
「個人が結婚前に築いた信用、評価の基礎となるもので、通称として使う利益は法律上保護される」
というところは認められています。
ですが、
その上で学校側の対応を検討し「職員を特定するために戸籍姓使用を求めることは合理性がある」とした。
とのこと。
Aさん側は「旧姓使用は広く認められている」
(おそらくこの場合、同校の生徒・保護者・同僚などの他、旧姓使用を認めている多数の自治体・企業も含む・・・かな)
と、主張していたそうですが、それが却下されます。
その理由に驚きです。
「医師など旧姓が認められない国家資格も多数ある。戸籍姓と同じように旧姓を使用することが、社会に根付いているとまでは認められない」と退けた。
「旧姓使用が認められてない資格もまだまだあるんだし・・・(空気読め)」みたいな感じでしょうか?
認められていない資格や会社の最後のひとつになるまでは似たようなこと思うのはあなただけじゃないよ?みたくも感じます。
で、もう一文は、なんと「社会にも根付いていないよ!」といってしまっています。
このあたり最後でツッコミます。
その結果、こういった判決になったわけですね。
「職場で戸籍姓の使用を求めることには合理性や必要性があり、旧姓を使えないとしても違法とは言えない」
・・・なんか残念ですね。
(ここまでの引用)毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161012/k00/00m/040/085000c
日本大学第三学園ってどんな学校?
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日大三中・三高の口コミなど。
難しい話が続いたのでちょっとブレイク。
争ってる日本大学第三学園ってどんな学校なのか気になったので、ちょろっと調べてみました。
理事長さんはこんなことを仰っていました。
日本大学の教育目標は「自主創造」です。自分の心で感じ、自分の頭で考え、自分の体で行動に現すことの出来る人の育成です。本校の校訓は「明るく、正しく、強く」です。これは明確に正義を貫く強い意志をも表しています。
(出典)日本大学第三中学校・高等学校
http://www.nichidai3.ed.jp/
この裁判の経緯を知った上で、校訓を見ていると、
この”正しく”とか”正義を貫く強い意志”なんてところに、なんていうんでしょう、
制度に対する柔軟性の低さ?を感じるような気もしてきちゃいますね。
そして”正しく”はこんなところにも厳しいようです。
卒業生さんたちの口コミから。
【校則】
大変厳しい。他の私立高校よりも厳しいと思われる。衣服類は全て指定。そしてこれはどこの私立高校でもそうであるが、それぞれがとても高価であるのに、他の物は一切認められない。アルバイトはもちろん禁止。もしもバレたら停学や謹慎ではすまない。退学が普通である。中間や期末考査当日には、服装の検査があり、スカートに折り目がついていたら減点。その他頭髪(染色やパーマなど)、化粧、ピアス、などの検査も厳しく行われる。パーマについてはストレートパーマや縮毛矯正については届けを提出すれば可能である。携帯電話スマートフォンは持ち込みが禁止。(ただし、殆どの生徒がこっそり持ってきており、教職員も黙認している)また、大きな特徴としては、男女交際が禁止であることだ。
校則は厳しめです。髪を染めることはNGですし、爪が長いだけでも怒られます。持ち物検査もありますし、ケータイは没収、ゲームは破壊されることもありました。
※とくに厳しく書かれていたものを抜き出しています。
ほかのコメントを眺めると上記ほどではない感じがしてきました。
【校則】
厳しいですが、誰も守ってないです。
【校則】
厳しいか厳しくないかで言えば厳しいです。一応校則はあるけど暗黙の了解というか、守らなくても問題がない場合が多いです。携帯電話は見つかったら没収です。
あとは部活動の評価ポイントも高かったですね。
【部活動】
部活動は特に活発に行われています。野球部は有名ですが、テニス、柔道、剣道など全国レベルです。スポーツマンシップに乗っ取り、皆、努力をしている姿が印象的です。
中学からエスカレータで大学まで行けてしまうので、こういった面もあるようです。
【学習意欲】
生徒の自主性に任されているため、目的意識をもった学習意欲のあるものは先生方のサポートも受け学力は向上するが、怠け者は怠け放題でもペナルテイを受けないので落ちこぼれてしまうことになりかねない。
(ここまでの引用)みんなの高校情報
https://www.minkou.jp/hischool/school/review/3594/
日大の付属高校
日本大学は膨大な付属校を抱えたマンモス校だとは知っていましたが、付属高校、中等教育学校、付属中学校だけでこんなにありました。
付属高校、中等教育学校、付属中学校を紹介しています。付属高校・中等教育学校には日本大学への推薦入学制度もあり、高大連携教育をはじめとして付属校各々の「独自性」と日本大学の持つ「総合性」が結び付く等、他にない特長があります。
日本大学高等学校・中学校
日本大学櫻丘高等学校
日本大学鶴ヶ丘高等学校
日本大学藤沢高等学校・中学校
日本大学豊山高等学校・中学校
日本大学豊山女子高等学校・中学校
日本大学三島高等学校・中学校
日本大学明誠高等学校
日本大学山形高等学校
日本大学習志野高等学校
日本大学東北高等学校
日本大学第一高等学校・中学校
千葉日本大学第一高等学校・中学校
日本大学第二高等学校・中学校
日本大学第三高等学校・中学校
大垣日本大学高等学校
土浦日本大学高等学校
岩瀬日本大学高等学校
土浦日本大学中等教育学校
宮崎日本大学高等学校・中学校
佐野日本大学高等学校
佐野日本大学中等教育学校
長崎日本大学高等学校・中学校
長野日本大学高等学校・中学校
札幌日本大学高等学校・中学校
(出典)日本大学 https://www.nihon-u.ac.jp/
選択的夫婦別姓の最高裁判決に矛盾?
2015年12月の最高裁判決では
民法の夫婦同姓規定を合憲とした判決で
「改姓する不利益は、旧姓の通称利用が広まることで一定程度緩和される」
と指摘した。
(出典)毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161012/k00/00m/040/085000c
とのことだったのですが、
今回、今月11日の東京地裁の判決では
学校の教職員でも旧姓が使える場合が多数あるなど、旧姓使用が認められる範囲が広がっているとしつつ、
「旧姓が戸籍名と同じように使われることが社会で根付いているとまでは認められない」と判断した。
(出典)朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASJBC4TCSJBCUTIL02Y.html
というわけです。
これは
【最高裁さん】
姓を変えた方のデメリットは、旧姓の通称使用が広まることでちょっとは少なくなるってば^^コソ
(夫婦同姓続行)↓
【東京地裁さん】
(不利益被ってるひといるけど)まだ社会に根付いていないもんね~、仕方ないよね~
みたいなかんじ。
・・・うーーーーん。
人格権侵害という面での理屈としては納得しないでもないですが、
「え、じゃあ旧姓使用の範囲を広めていくってのは誰がやるの?」
と微妙な気持ちになります。
Aさんと弁護団は控訴の姿勢ですが、ここから展開の変換が期待できるのは
「旧姓を通称として使う利益は法律上保護される」
(出典)毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161012/k00/00m/040/085000c
このあたりでしょうか。
おわりに
今回の判決に関しては新聞各紙も批判的で様々な議論を生んでいます。
まず前提として、婚姻届を出す際には9割以上の女性が夫の姓になっていて、名前が変わることの不利益を受けているのは、基本的に女性が大多数だというのがあります。
これに対して、
今回の担当裁判官が全員男性だったこと。
これが”男性は実感としてわかっていない”という部分で、この判決に影響したのではないかとも言われています。
姓を変えることの抵抗から選ばれることも多い事実婚。
当サイトもこの判決の反響や今後の流れを追っていきます。
(参考)
http://mainichi.jp/articles/20161012/k00/00m/040/085000c
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12604669.html?rm=150
http://www.asahi.com/articles/ASJBC4TCTJBCUTIL02Z.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161011-00000049-asahi-soci
http://news.livedoor.com/article/detail/12133199/
http://www.yomiuri.co.jp/national/20161011-OYT1T50068.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11H53_R11C16A0CR8000/
http://www.huffingtonpost.jp/2016/10/12/uchikoshi_n_12450234.html?utm_hp_ref=japan
https://www.bengo4.com/c_3/c_1340/n_4881/
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/254258.html?utm_int=detail_contents_news-link_001
ほか
(2017.3.18追記)
職場での旧姓の通称使用を認める
和解が成立
控訴審となっていた2審の東京高等裁判所では和解となりました。(3/17発表)
日本大学第三学園側が税金の書類など一部を除いて教職員の旧姓の使用を認めるという条件で和解が成立したということです。
学校側は「長期化させることは生徒や保護者、当事者双方にとって利益がないと判断し和解を受け入れた」とコメントしています。
そもそも税金などの書類の旧姓使用はほとんどの企業でも基本的にできないし、Aさん側でも求めていなかったはず。
「自分の本来の姓が使えるようになりうれしいです」
とのことでした。(弁護団を通じてのAさんのコメント)
ネット上では、Aさんを
(こんなことでわざわざ訴訟までするなんて)
”めんどくさい人”
としている意見も多く見られたのですが、
Aさんは実際に自分が動くことで未来が変われば…と思ってのことだったんじゃないですかね。
そういった姿を生徒たちにも見せたかったんじゃないでしょうか。
本人だってほんとは、わざわざ事を荒立てるようなことしたくなかったと思いますよ。
彼女の弁護団も「今回の結果が旧姓の使用を認めていない企業で働く人の役に立ってほしいし、
裁判をしなくていいように夫婦別姓を認める法律の改正をしてほしい」と話しています。
今後も注目していきたいと思います。
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